~ 経営管理委員会会長あいさつ ~
令和4年5月21日
佐渡農業協同組合
経営管理委員会会長 永井充
ご あ い さ つ
平素は格別なご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
当期の事業を取り巻く情勢は、人口の減少・少子高齢化等の事業基盤縮小に加え、新型コロナウイルス感染症の影響による経済の混乱が残る中、突発的な国際情勢の変化により経営環境は、一層厳しさを増しています。
農業情勢では、担い手の不足や農家の高齢化等により、生産基盤の維持拡大が大きな課題となっています。また、主食用米は、食生活の変化に加え、コロナ禍の影響で需要が大きく減少しており、前年を下回る価格で推移しました。このため、農業経営の運転資金に対する支援策として「緊急農業経営安定対策資金」等を用意し対応させて頂きました。
このような中、主要農畜産物の水稲は、コシヒカリの1等米比率が90.3%となり、初めて90%の目標を達成することが出来ました。品質向上は、長年の課題でありましたので、生産者の皆様の努力に敬意を表し感謝を申し上げます。一方、収量については、作況指数95となりました。これは、8月中・下旬の日照不足と低温が影響し、登熟(みのり)が悪く、屑米が多くなり収穫量が減少したことによるものです。今後の対策としては、「気象変動に左右されない米づくり」として、品質・食味・収量の安定化に取り組んでいく必要があります。
園芸品目のおけさ柿については、春先に晩霜により甚大な凍霜被害が国仲地域を中心に発生しました。このため、生産の支援として、薬剤費の一部助成を実施しています。地球温暖化現象に伴い、今後も晩霜害のリスクは年々高まると思われます。予防対策として、大きな扇風機で空気を対流させる事で、霜害を防ぐ防霜ファンの設置が有効とされております。行政の応援も頂き、安定生産を支援して参りたいと考えています。価格面では、先行産地とのリレー販売がスムースであった事や、他品目との競合が無かった事に加え、大玉で品質も良く終始高値で推移しました。また、アスパラやみかんの栽培拡大に取り組んで参りました。
畜産部門の酪農ですが、夏場の猛暑対策を講じ環境整備に努めた結果、家畜の事故頭数も少なく生乳出荷量の確保も出来ました。和牛市場価格はコロナ感染症の影響もありましたが、前年を上回る価格で推移しました。市場出荷頭数は、大型和牛繁殖支援施設からの出荷も134頭と順調であった事から、年間360頭を超える上場頭数となり、大型和牛繁殖支援施設での飼育頭数は年度末で、389頭となりました。
さて、当JAは、農業は「国の基」との認識のもと各地区の営農ビジョンの実践を通じて、「農業者の所得の増大」「農業生産の拡大」「地域の活性化」を目標とする創造的自己改革の実践に総力を上げて取り組んで参りました。しかし、自己改革の実践進捗状況は厳しいものでありました。
この現状を踏まえ、経営改善は最優先の課題と認識し、経営管理委員で構成する経営改善委員会において、改善方針策定の協議を進めて参りました。この方針に基づき、組合員と共に、地域に根ざした協同組合の実現を目指し、以下の重点課題に取り組みました。
各地区の営農ビジョンの再構築、更なるJA自己改革の実践、協同組合の原則並びにJA綱領に立脚したJA像追求の実践のため、総合事業を通じて、地域農業の発展と安心して暮らせる豊かな地域社会の実現に努めました。更には、販売力強化・農業生産コスト低減の取り組みと、営農指導体制の強化等、担い手対策や農業経営支援活動の強化に努めて参りました。
また、事業推進や事業コストの削減により、JA経営安定化の取り組みを進めて参りました。
その結果、当期事業活動による事業総利益は26億7,977万円、事業管理費は25億9,598万円、事業利益は8,379万円となり、当期剰余金は1億2,368万円を確保する事が出来ました。これは、組合員をはじめ利用者の皆様から事業全般へのご理解とご協力の賜物と心より感謝を申し上げます。
今後共、組合員・利用者の皆様から支持されるJA佐渡を目指して、事業推進に取り組んで参ります。特に、農業面においては、引き続き、需要に応じた米の生産と『佐渡米未来プロジェクト品質向上90』運動の継続に加え、おいしい佐渡米づくりの研究会が稼働しましたので、『高品質・良食味』の日本一おいしい佐渡米の安定供給と販売強化に努めます。さらには、行政と連携した水田フル活用に取り組み、園芸生産拡大に向けた提案活動を積極的に進めると共に、畜産を加えた農業振興の3本柱として農業生産の継続に取り組んで参ります。
これからも、グループ会社・組織を含めた当JAの総合力を発揮し、担い手をはじめとする組合員・利用者の多様な意見を反映した総合事業を展開して参ります。そして、地域から、「JA佐渡は無くてはならない存在」として、再認識して頂けますよう努力して参ります。また、JA合併構想への取り組みとして、県下5JA構想(上越、中越、魚沼、下越、佐渡)の実現を目指して研究して参ります。
結びに、本総代会を契機として、JA佐渡の組合員・役職員一人一人が農業・地域・当JAの課題と向き合い協同組合の仲間と共に、問題解決に向かって、前進することを願うと共に、組合員・利用者の皆様のご健勝と益々のご活躍を、ご祈念申し上げご挨拶とします。
令和4年5月21日
経営管理委員会
会長 永井充